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棚田アートに地熱発電利用…松之山のお米がつなぐご縁【新潟県十日町市】

2025.08.07

青森県の田舎館村が有名な「田んぼアート」ですが、米どころ新潟県にもいくつかあるのをご存じですか?
うだるような暑さの中でもたくましく育ち、緑色濃く画柄がさらにクッキリと見えるようになってきたのが、十日町市松之山の棚田アートです。


舞台は爽やかな風が吹く山深い十日町市松之山下布川地区の山間。
東京都内3か所で、ごはん専門店「おひつ膳 田んぼ」を経営している方々が地元住民と協力し手作りしているこの「棚田アート」、可愛らしいデザインは毎年変わります。今年の浮き上がる文字は【二十周年】【十日町市】の文字。
これは5市町村の合併で十日町市が誕生してから20周年!を祝うデザインなのだそうです。

この棚田アートへは「棚田アート」と書かれた特徴的なオレンジ色ののぼり旗が誘導してくれます。見落とさないよう、ゆったりのんびりと運転しながら行きましょう。

来年に向けての準備も始まっています

松之山下布川地区の棚田アートから車で20分程離れた「留守原の棚田」では、今後の棚田アートに必要な色付きの米を植え、育てはじめています。
これは「種もみ」(水稲の種子のことで、お米を作るための最初の苗の元となるもの)を採るために栽培しているのだそう。


つい先日、畔の草刈りが実施されたばかりの留守原の棚田です。こうした畔草刈りや中央に見える茅葺小屋の冬季雪下ろしなど、地元松之山の皆さんが協力し管理されています。

この場所では棚田の景観鑑賞だけでなく、車のエンジンを切って耳をすませてください。きっと虫たちや野鳥たちのオーケストラもお楽しみいただけるはずです。

温泉がエネルギーに!?お米と電気が相互に行き交う関係性

棚田アートがある十日町市松之山地域には、日本三大薬湯といわる松之山温泉があります。
この松之山温泉は「ジオプレッシャー型」と呼ばれる温泉で、約1200万年前の海水が100度近い温度で噴き出す世界的にも珍しい温泉。
この100℃以上の高温、そして豊富な湯量を活用して始まったのが「バイナリー発電」(蒸気でタービンと呼ばれる回転式の原動機を動かす発電方式)。2020年に発電施設が完成し、現在そこで作られた電気は再エネ100%を扱う「みんな電力」を介して十日町市と交流ある世田谷区に電力供給されています。

松之山の農家の方と協力して棚田アートを手掛けている「おひつ膳 田んぼ」の三軒茶屋店では、その電気を利用しているそうです。そして、店舗では美味しい松之山のお米も提供されています。田んぼとお米と電気が繋いだご縁が、美味しいご飯を食べに来られた方々、棚田を観においでになった方々、様々な方とのご縁も繋ぎ、さらに広がっていく棚田アートなのでした。

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この記事をかいた人

にぎりめし

料理とドライブが趣味で、旬の素材を生かした料理の修行中。