いざわわしこうぼうけやき伊沢和紙工房 欅
建物はこの地方の伝統的な建築様式「せいがい造り」となっており、軒の“出”を長くし雨・雪が屋内に入るのを防ぎます。雪の重みに耐えるための工夫でもあります。2階は郷土芸能「松苧(まつお)太鼓」の練習場となっており、伊沢和紙と共に伝統文化の鍛練の場となっています。シャッターには地元の方による松代の四季が描かれています。
伊沢和紙は、江戸時代に長野県の「内山紙」の技術が伝えられたものといわれ、秋に原料の楮を刈り取り、紙すきは冬の仕事でした。雪の多いこの地方では、紙を白くするために雪を利用した「雪晒(さら)し」が行われました。厚めで丈夫な「伊沢紙」は、傘紙・凧紙・障子紙など需要が多かったようです。
昭和30年代後半に地域での紙すき産業は途絶えてしまいましたが、その技術は、高柳門出、小国へと伝わり、「伊沢紙」として名前は残りました。その後、地元の孟地(もうち)小学校で、伊沢和紙をすいて卒業証書を作ったのがきっかけとなり、平成15年に現在の工房開設となりました。